銀行とPBRについてのメモ
概要
PBRについて
最近の邦銀におけるPBRについてのコメント
はじめに
こんにちは。お久しぶりです。本日はGW最終日ですが,みなさんどのようにお過ごしになられましたでしょうか。 たくさんお金を使って日本経済に貢献してくだされば,と思います()
私は帰省もせず引きこもっていたので,何もしてません。虚無。
先日証券アナリスト試験を受験したことと,最近企業価値評価の勉強を少しずつするようになったので, メモも兼ねて久しぶりの更新。完全に自己満足ですね,はい。
今回は超メジャーな指標,PBRについての記事。
PBRとは
株価純資産倍率(Price Book-Value Ratio, 以下PBR)は,株式投資の判断基準としてよく用いられる指標です。 ある株価が適正価格と比較して割安か割高かを判断するために使います。
具体的には,株価を1株当たり純資産で割ったものです。式で表すと
となります。分母のは,1株当たり純資産(Bookvalue Per Share)で期末自己資本を発行済み株式数で割ったものです*1。
一般的にこのPBRが1より大きければ割高,1より小さければ割安と言われています。 しかしPBRをもう少し分解(?)することで,割安・割高以外に興味深い使い方ができます (えらそーな事を言ってますが,おそらく知っている方がとても多いと思います。申し訳ない。)。
株価の理論価格を求めるモデルとして,残余利益モデルというものがあります。式で表すと
です。ここで は理論株価, は期首の1株当たり自己資本簿価, は株主の要求収益率です*2。
ここでよくある仮定なのですが,毎期のROEが一定,自己資本成長率が で 一定で,クリーン・サープラス関係が成立しているとすると,無限等比級数の式から次の式が得られます。
ここで,この(3)式の両辺を で割ることでPBRの関係式を得ることができます。
よって(4)の式から,PBRが1を上回るときは割高,1を下回れば割安ということ以外にも
のとき,PBRは1より大きい
のとき,PBRは1以下
という関係が得られました。すごい(小並感)
最近の銀行株とPBRについて
このような指標は異なる業界間で用いることは一般的ではなく,同業界の企業間の比較で用います。ただ今回は,業界のみに注目してみます。
業界のなかでは,銀行業界はPBRが1を下回る企業が多いです。
手元の四季報(2018/2/26現在)によると,
新生銀行 0.52
あおぞら銀行 1.12
MUFG 0.63
りそなHD 0.69
三井住友信託 0.64
三井住友 0.63
みずほ 0.56
といったところ。地銀は0.3~0.4が多いです。
これは過剰に割安であるというよりも,企業の収益力を示す が 投資家の要求収益率 を 大きく下回っていることを示唆していると思われます。
日銀がイールドカーブを押しつぶしたために鞘が取れず,死んだことを基本的に反映しているという感じ。 実際に株価チャートをみると,マイナス金利導入後に大下げです。
「鞘が取れなれない?2016年9月から,イールドカーブをスティープ化してやっただろ?安定的に貸出が増やすことはできない? 他の事業を見つけろ。がんばれ。」という戦前日本の精神論みたいなことを言う日銀こわいですね。
一応米国でのボルカールール改正等により一部邦銀等には買い材料になるかもしれないネタはありますが
地銀(あと信金)は国債・外債のデュレーションが超長期化していて脆弱性がマシマシ状態で, 利上げ局面で確実に死ぬので,何とかしろ
と日経新聞やらが最近ボロクソに言っています。死体叩き感が…。
感想と追記
PBRの記事から,いつの間にか金融政策の話になっていました。相変わらず一貫性がないです。
えー,金融緩和政策と銀行貸出は直接的に支持できる因果関係はなく,外部関係が大きいと個人的には考えています。
修論で銀行貸出を変数に入れた多変量時系列モデルで推計してみたけど,MBと銀行貸出間,長期金利と銀行貸出間に有意な関係が無かったので。
あとPCがないので携帯で書いたら,めっちゃ疲れた。もう二度と書かない。
参考文献
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2018/03/16
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